ニッポン放送『ショウアップナイター』看板アナ、松本秀夫氏が、決勝リーグ3日目全6試合のダイジェスト映像のナレーションを担当。さらに、この日の大一番である「DTS対USE」を実況した。プロ専門の松本氏はIPI軟式野球リーグをどう見たのか、直撃した。
「アマチュア野球の実況で身が引き締まった」
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松本アナウンサーは「ニッポン放送ショウアップナイター」の看板アナですが、2017年の春、フリーアナウンサーとなり新たなチャレンジをされていると伺いました。
- 松本:
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これまでサラリーマンだとやれなかったことを何でもやってみようと思っています。今回のIPI軟式野球リーグの実況もまさに新たなチャレンジですが、ほかにも若い後進の指導セミナーを行ったり、あとは昔からお芝居が好きだったこともあって芝居を作る仕事にも挑戦しています。また、私はニッポン放送では長い間ロッテを担当していて川崎球場(現・富士通スタジアム)で育ったものですから、そこで昔の川崎球場の価値を広めていくようなイベントも行っています。
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松本アナウンサーは現在56歳ですよね。この年齢で新たなチャレンジというのは相当なパワーが必要だと思います。その原動力の源は何でしょうか。
- 松本:
それほど大したことではありませんよ。お陰様で今年もベースのお仕事としてショウアップナイターの実況がありますし、私自身、独り身だから他の人よりも背負う物が少ないですからね。残りの人生、自分の好きなことに回せる立場だったということです。
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IPI軟式野球リーグの実況をやってみて、率直な感想はいかがでしょう。これまでのプロ野球の実況と異なる点などありましたか?
- 松本:
ありましたね。特に軟式球と硬式球ではバウンドの仕方が全く違いました。硬式ならばフェアグラウンドに飛ぶボールがファウルグラウンドに転がったシーンでは、つい実況を誤ってしまいました。あらためて「決めつけてしゃべってはいけない」と身が引き締まる思いでした。
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試合前には、松本アナウンサーからの申し出で両チームを事前取材したと伺いました。
- 松本:
ただ試合を見て「投げた」「打った」ではトーキングマシーンです。野球に限らずどんなスポーツでも、実況には「人」が見えてこなければ面白くないですからね。
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実際に事前取材が役立ったシーンはありましたか?
- 松本:
勝利したDTSの増田監督は今季の初めころは、選手には「当てるバッティングではなく振り切ってクリーンな野球をやろう」と指導していたそうですが、それでは得点につながらないと気づき、シーズン途中からゴロを打たせる野球に変えたと聞いていました。実際に今日のヒットを見ると、高いバウンドが内野安打になったり、鋭いゴロが相手のエラーを誘ったりと、増田監督の狙いがチームに浸透していることが分かりましたね。
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それでは最後にIPI軟式野球リーグにぜひエールを贈っていただけますか?
- 松本:
社会人野球という括りで見ると、今の時代、名門と言われた会社が撤退してしまうなど、裾野が狭まってしまっています。そんな中でIPI軟式野球リーグは27年も続き、今も社会人野球の裾野を広げてくれて、しかも今回のように試合の中継をインターネット上でも配信するなど新たな試みもしています。それがより多くの人の目に触れて、参加企業が増えたり、観戦者が増えたりするきっかけになれば、関わった私もすごくうれしいことです。今後も機会があればぜひ、IPI軟式野球リーグに関わらせていただきたいと思います!
<プロフィール>
松本秀夫(まつもと・ひでお)
1961年7月22日生まれ、東京都出身。ニッポン放送『ショウアップナイター』の看板アナウンサーで、2017年の春、フリーランスに。入社時から担当するロッテに思い入れを持ち、2005年のパリーグ・プレーオフでロッテの31年ぶりリーグ優勝したときの号泣実況は有名。